新宿という繁華街にありながら58.3ヘクタールの広大な自然を誇る環境省所管の庭園。
そんな「新宿御苑」の温室ツアーと超穴場の休憩スポットを知る旅しました。
開園時間と入園料、休園日についてはこちらをご確認ください。
月一で開催されている「温室鑑賞教室」に参加してきました。
無料で特に申し込みも必要ないので、気軽に参加できて植物のことに詳しくなれるありがたいツアーです。
そもそも「新宿御苑」ってどんな場所なの?
「新宿御苑」って公園でしょ?
はい、そうです。
しかし単に「公園」の一言で済ませられない日本にとって重要な場所でもあります。
【新宿御苑】
新宿といいながら敷地の半分は渋谷区に属する環境省が管轄する国民公園※1。
ちなみに…余談ですが「新宿高島屋」はガッツリ渋谷区です。
大正天皇と昭和天皇の「大喪の礼」が執り行われた場所でもあり、2019年まで「桜を見る会」が催されていたのもここ新宿御苑です。
園内は「日本庭園」、「風景式庭園(イギリス式)」、「整形庭園(フランス式)」「母と子の森」「こども広場」などのエリアがあり、一万本を超える樹々が植えられています。
毎年、桜の季節にはたくさんの来園者が訪れソメイヨシノや八重桜を楽しんでします。
➖ みどころ ➖
ロンドンのハイドパークを思わせる一面の芝生の庭や、ベルサイユ宮殿のように規則正しく整形されたローズガーデン、アジアンテイストに浸れる旧御凉亭など主なみどころのほかにも、歴史的建造物もたくさん残っているのも新宿御苑の魅力。
広い園内には無料の休憩所から、さまざまな形式の休憩所があり、実はグルメも充実しています。
※1…国民公園は日本に3か所。「皇居外苑」「京都御苑」と「新宿御苑」です。
「大喪の礼」が執り行われるなど、日本の歴史にとって重要な儀式がここ新宿御苑で行われました。
そんな新宿御苑が誇る、かつては東洋一の規模を誇った「温室」から旅はスタートします。
知識も見どころも完全網羅の「温室鑑賞教室」
現在の温室は2007年から5年の歳月をかけて2012年にあたらしく生まれ変わりました。
ドーム型の全面ガラス張りで、絶滅危惧植物の保護増殖や、ワシントン条約で保護されている洋ラン等の栽培を行う特別室を設置されています。
地中に設けたクールチューブからの冷気を夏期の温度抑制に利用するなど、環境を考慮したさまざまな工夫がされています。
13:30から開始で、10分くらい前に入り口付近にいると職員の方が参加の印としてQRコードの印刷されたチケット?らしきものを配ってくれます。
今回の参加者は私を含め5名と普段より少なめだったようです。
定員は10名程度ということですが少しくらい増えてもそのまま続行する感じのゆるい雰囲気でした。
そんな感じが気軽でとても良い、肩肘張らずに参加できるツアーでした。
温室への入場、鑑賞教室への参加は無料です。ただし新宿御苑への入園料が必要です。
ちなみに温室内は撮影可能ですが、職員の方の案内の様子をひたすら録画したり、三脚などを使ってモデル撮影や映え写真をガッツリ撮影することはNGです。
マナーを守って鑑賞しましょう。
いざ、鑑賞教室のスタートです。
温室に入ってすぐ左手にある「ビカクシダ」(鹿角羊歯)です。
大人4人で手を繋いで囲むくらいの大きさです。
かなり大きい植物ですがホームセンターなどでも売っている植物です。
ホームセンターなどで売っているものも何十年と経てば、ここまで大きくなる可能性はあるそうです。
このビカクシダはいつから温室にあるのかを職員の方もわからないほど昔からあるそうです。
名前の由来は鹿の角のような葉からきているそう。
ちなみに「コウモリラン」という別名も見た目がコウモリの羽っぽいからとのことです。
これは「レモンマートル」の葉です。
その名の通りレモンのいい香りがします。
職員の方が参加者に配ってくれます。
こういった香木も栽培されており「イランイラン」の木もありました。
ただし、この温室にあるイランイランは香料を採取するのが目的ではないため、あまりいい香りはしないそうです。
観葉植物として有名な「ポトス」
葉の直径は大きいもので80センチくらいありそうなほど大きい。
職員の方曰く「これがポトスの本気」だそうです。
「エンジェルストランペット」という愛らしい名前と可憐な見た目とはうらはらに猛毒をもつ危険な植物。
「愛嬌」「愛敬」という花言葉もありつつ「偽りの魅力」「あなたを酔わせる」という相反する花言葉も。
花の世界にも悪女がいるようです。
要注意です。
この「カトレア」は原種だそうです。
なぜ原種かを見分けられるのかというと…
「Cattleya warscewiczii」と名札に記載されていて、warscewicziiの部分が最初の文字が小文字で記載されていることから、こちらはカトレアの原種ということがわかるのだとか。
名札の書き方には世界共通のルールがあるそうです。
こちらは「シークワーサー」です。
食用に育てているものではないので、とても小さくて食べることはできないそう。
食用に育てるには間引いたり、木にテンションをかけて思い切り広げなくてはならないそうです。
シークワーサーという単語だけで、大好きなシークワーサーサワーが飲みたくなってきます♪
温室内を一周して所要時間は50分くらいでした。
職員の方が質問などにも丁寧に答えてくれる充実したツアーでした。
アジアンテイスト満喫 水辺にたたずむ「旧御凉亭」
日本庭園を歩いていくと、しっとりした池のほとりに現れるのが「旧御凉亭」です。
特徴的な屋根の造りはシノワズリを思わせ、日本ではないアジアを感じさせます。
昭和天皇が皇太子時代、御成婚記念として1927年(昭和2年)に建てられた台湾式の木造建築で東京都選定歴史的建造物に指定されています。
「涼」という字が示すように「夏の御散策の際に涼をとる建物」という意図をもって設計したそうです。
裏に生える樹々が木陰をつくりつつ、水の上に建つ旧御凉亭は静かな涼しさを感じられる場所でした。
日本庭園式の池のほとりに建つアジアンテイストたっぷりの建物は情緒ただよう撮影スポットです。
畳の座敷で「和」のくつろぎ 楽羽亭「あかふじ茶室」
新宿御苑には6か所もの無料休憩所があります。
無料とは思えないほどのキレイで充実した施設なのでぜひ利用したいスポットです。
無料休憩所にはカフェや茶室が併設されているので、有料になりますがお茶やスイーツをいただくこともできます。
今回ご紹介する 楽羽亭「あかふじ茶室」は無料ではありませんが、新宿御苑のひと休みにプチ贅沢をしたいスポットです。
めずらしい具材のおにぎりやフルーツ大福と一緒に、抹茶やほうじ茶をいただいて休憩できる和カフェです。
風鈴の音がこんなにも心地よく響くなんて。
昭和の夏に戻ったようなノスタルジックな感覚は50代ならではかもしれません。
おにぎりのお米は日替わりのよう。
この日は山形県産の「雪若丸」というお米でした。
テーブル席と座敷があり、迷わず座敷を選択。
座敷からの眺めが素晴らしくて、新宿にいることを忘れてしまうほどの自然の中の静けさにうっとり。
畳に座布団にちゃぶ台。
久しぶりに畳に座って、こんなにリラックスするんだ〜と自分の中にある日本の心を再発見。
ハート型の窓は「猪目」(いのめ)という日本古来の文様。
さりげなく映えスポット?
梅のおにぎり、みかん大福、ほうじ茶をオーダー。
このセットで1,350円でした。
ちょっと小腹を満たし甘いもので疲れも取れて、私にとってはベストチョイスでした。
しっかり食べたい方には「おにぎり御膳」(おにぎり2つ/豚汁/お漬物)のセット1,200円もあります。
もっちもちの皮に白あんと爽やかな酸味のみかんがまるごと一個入ったフルーツ大福とあたたかいお茶の組み合わせは最強です。
季節のフルーツでラインナップされていて、この日は桃の大福などもありました。
都会のど真ん中でここまで癒されるとは、いい意味で想像を裏切られました。
15時くらいの来店だったので店内も3組だけで落ち着いた〜。
ちなみに座敷は2席しかないようなのでタイミングを見計らっての来店をおすすめします。
世界的にONIGIRIブームの影響なのか私以外の方は海外の方でした。
お米にも具材にもこだわったおにぎりと極上の和の空間。
まだ広く知られていない超穴場かもしれません。
なんだか紹介したいような秘密にしたいような…。
世間に広くバレるまでは私も通いたいお店です。
【まとめ】新宿御苑はこんなところ
・58.3ヘクタールの広大な敷地を誇る国民公園
・大正天皇と昭和天皇の「大喪の礼」という歴史的な儀式を執り行った場所
・温室は2012年にリニューアルされた環境配慮型の施設となっている
・さまざまな様式の庭園があり、イギリス式やフランス式の庭園も楽しめる
・日本庭園の中にたたずむ「旧御凉亭」はシノワズリーな雰囲気を味わえる撮影スポット
・園内の休憩は無料の場所も6ヶ所あるが、おすすめは楽羽亭「あかふじ茶室」
・楽羽亭「あかふじ茶室」では座敷がおすすめ
・具材にこだわったおにぎりや季節のフルーツ大福で一息つける
さすがは日本に3つしかない国民公園のひとつ。
手入れされた緑や花や樹々はうつくしく、自然のサイクルに沿った育ち方をしているようでした。
リラックスした時に、うってつけのまさに「都会のオアシス」です。